オプティマムレンジ考(その9)
アンプにもテープデッキにもカートリッジにもセパレーション特性という項目がある。
アンプは完全なモノーラル仕様であればセパレーション特性は関係なくなるが、
ステレオ仕様であるかぎり、どんなオーディオ機器であれセパレーション特性が関係してくる。
どんなに優秀なセパレーション特性のアンプやデッキなどであっても、
高域になればセパレーション特性は悪くなっていく。
20kHzまではセパレーション特性がフラットにできたとしても、
それ以上の高域、40kHz、80kHz……周波数が高くなればセパレーション特性はどんどん悪くなっていく。
20kHzまでであれは十分なセパレーション特性であっても、
高域レンジが拡大していくことで、それでは十分とはいえなくなる。
再生周波数レンジを高域方向にのばしていこうとすれば、
十分なセパレーション特性をどう確保していくのかが問題となってくる。
しかもデジタル機器では高域のレンジをのばしていくためには動作周波数を高くしていくことになる。
そのためSACDプレーヤーが登場したばかりのころ、
あるSACDプレーヤーはアンプとケーブルで接続しなくとも、
PLAYボタンをおしてSACDを再生すると、スピーカーから音が鳴ってきた。
CDプレーヤーでは起り得なかった現象が、
より高い周波数で動作しているSACDプレーヤーでは、輻射ノイズに音楽信号がのり、
そのノイズをアンプが検波してしまい結果としてケーブルによる接続がなくとも音が鳴ったわけである。