Date: 4月 22nd, 2015
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これまで(その3)

ステレオサウンドを読みはじめたころは、記事だけでなく広告も丹念に読んでいた。
すべての広告がそうだったとはいわないけれど、少なからぬ広告には記事的な要素もあったように感じていた。
だから記事も広告もじっくり読んでいた。

なので広告のこともけっこういまでも記憶している。
そんな広告の中で、不思議と目に留ったのがスペックスだった。
MC型カートリッジSD909の広告で、毎号広告の内容は変っていっても、必ず共通するコピーがあった。

このころのステレオサウンドを読んでいた人ならば、
あぁ、あれね、とすぐに思い出されるだろう。
スペックスのSD909の広告には、必ず「日産21個」とあった。

SD909は当時30000円のカートリッジだった。
日産21個ということは、63万円になる。
カートリッジの製造原価がどの程度なのか当時は中学生だったからまったく知らなかった。

正直、日産21個が、MC型カートリッジの生産量として多いのか少ないのかはわからなかった。
けれど、こうやって毎号広告に出しているくらいだから、それは少ない数なのだろう、ということは察しがつく。

それにスペックスの会社の規模についても、ほとんど知らなかった。
規模の大きい会社ならば21個は非常に少ないことになるけれど、
規模が小さい会社ならばそれほどでもなくなる。

1975年発行のステレオサウンド別冊HI-FI STEREO GUIDEによれば、スペックスのカートリッジは六機種。
MM型のSM100MKII、MC型のSD801 EXCEL、SD900SP、SD700 TYPEII/E、SD901、SD900。
まだ、日産21個のSD909は登場していない。

SD909登場のころは、SM100MKIIとSD900SPだけが残っている。
SD909以外のカートリッジの生産量は広告で謳っていないことからも、
やはり日産21個は少ない数といっていいだろう。

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