Date: 4月 6th, 2015
Cate: イコライザー
Tags:

私的イコライザー考(音の純度とピュアリストアプローチ・その7)

グラフィックイコライザーの使用に否定的な人の中には、
専用のリスニングルームを建てるだけの経済的余裕のない者が頼る機器、
それがグラフィックイコライザーである──、そんなことをいう人もいる。

またこんなことをいう人もいる。
グラフィックイコライザーに頼る人は、指先だけで処理しようとする──、
確かにそういう人がいないわけではない。

いまでは各社から整音パネル、調音パネルなどと呼ばれるモノがいくつも出ている。
専用リスニングルームを建てられなくとも、
これらのモノを駆使することでグラフィックイコライザーは不要である──、
ほんとうにそうなのだろうか。

音響的に条件を整えていった上で、グラフィックイコライザーを使えば、
各周波数における補正量は抑えられるはずである。
ならばどちらかだけでなく、積極的にそれぞれの良さを認めて採り入れてみることを考えはどうだろうか。

私がグラフィックイコライザーの使いこなしの見事な例として挙げるのは、菅野先生の音である。
菅野先生の音を聴けば、グラフィックイコライザーは必要になる、と思える。

その菅野先生のリスニングルームだが、音響的には特別なことはされていないように見える。
左右のスピーカーの中央にある扉のガラスの一部にソネックスが貼られているくらいにしか見えないが、
ステレオサウンド、スイングジャーナルのかなり古いバックナンバーには、
昔の菅野先生のリスニングルームの写真が載っている。
それらを見較べてほしい。

壁の表面、それから天井と壁が交わるところなどを特に見較べれば、
菅野先生がグラフィックイコライザーだけに頼られているわけではないことがはっきりする。

整音パネル、調音パネルと呼ばれているモノの中には、なかなか効果的なモノはある。
けれどそれらをリスニングルームに林立させることに、音が良くなるのだから、といって、
ためらうことのない人もいれば、
できるだけ視覚的にそういったモノが目につかないようにしたい、
専用リスニングルームという感じをできるだけ抑えたい、という人だっている。

そういう人にとって、菅野先生のリスニングルームのいくつかの変化とグラフィックイコライザーの併用は、
良き参考例となるはずだ。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]