バスレフ考(その2)
HIGH-TECHNIC SERIES 4はフルレンジユニットの一冊であり、
瀬川先生は「フルレンジユニットを生かすスピーカーシステム構成法」を担当されている。
その中の見出しで「位相反転型の教科書に反抗する」というのがある。
ここでは当時秋葉原にあったオンキョーオーディオセンターで行なわれた実験を基にして書かれている。
オンキョーの20cm口径のフルレンジユニットFRX20を、
エンクロージュアの材料、形状、構造やサイズ、プロポーションなどを変えての、かなり大がかりな実験である。
「位相反転型の教科書に反抗する」の章では、
オンキョーオーディオセンターでの実験のデータも紹介されている。
これは興味深いデータであったし、
スピーカーシステムは実際のリスニングルームに設置して聴くものである、という、
ごくあたりまえのことを改めて考えさせられる内容でも合った。
FRX20を使った実験では、内容積が65リッター、85リッター、150リッターの三種類のエンクロージュア作り、
まず密閉型で聴き、その後、バスレフポートの長さを増していくというもの。
その結果を書かれている。
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これを実際に、約50名のアマチュア立会いでヒアリングテストしたところ、箱を最大にすると共にポートを最も長くして、旧来のバスレフ理論からは最適同調点を最もはずしたポイントが、聴感上では音に深みと幅が増してスケール感が豊かで、とうてい20センチのシングルコーンとは思えないという結果が得られた。
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実測データとして、
それぞれの内容積で、密閉型、ポートの長さを変えたバスレフ型の周波数特性とインピーダンス特性が載っている。
測定はヒアリングテストの前に行なわれている。
オンキョーのエンジニアからは、ミスチューニングで好ましくない、と意見がついてきた特性、
内容積150リッターで、ポート寸法130φ×365mmの二本の組合せが、
聴感上もっとも好ましい結果となっている。