オーディオ「原器」考(その6)
4343を「原器」とするならば、
トーンアームの「原器」は、やはりSMEの3012ということになる。
少なくとも日本では、そうだといえる。
オルトフォンのSPUを使うために開発されたSMEの3012に採用されたのが、
その後日本では標準規格といえるほど普及してしまったプラグインコネクターである。
このコネクターの採用だけでも、SMEの日本のトーンアームにおける影響の大きさがわかる。
このコネクターの採用があったからこそ、
日本ではカートリッジの交換を、多くの人があたりまえのように行えるようになった。
アナログプレーヤー関連のアクセサリーがあれだけ充実したのも、
プラグインコネクターの普及のおかげもある。
ヘッドシェル、リード線、取付けネジなどのアクセサリーは、
プラグインコネクターの採用があったからこそのモノともいえる。
SMEの3012の影響はそれだけではない。
ある時期の日本のトーンアームは、3012のコピー(部分的なコピーを含めて)といえるモノがいくつもあった。
SMEの3012も、4343と同じ意味で「原器」であったといえよう。
では同じようにマークレビンソンのLNP2も「原器」といえるだろうか。
「LNP2と同時代のコントロールアンプ」とテーマで書け、といわれれば、いくらでも書いていける。
けれど、冷静にみればわかることなのだが、LNP2は4343、3012のような影響を、
同ジャンルの日本のオーディオ機器に与えただろうか。
影響の大きさだけでみれば、LNP2よりもJC2の方が大きい。