オーディオ「原器」考(その3)
それぞれのジャンルの原器について考えてみる。
パワーアンプの原器といえるモノには何があるのか。
まずいえるのは真空管アンプだということ。
けれど、そこから先のこととなると、意外に難しい。
マッキントッシュ、マランツの真空管パワーアンプを挙げるのに、なぜか抵抗を感じる。
そしてメーカーの特定の機種ということよりも、
オルソン型アンプなのかウィリアムソン型アンプなのか。
どちらが原器といえるのかについて考えている。
トランジスターのパワーアンプとなると、さらに悩む。
真空管アンプの回路をトランジスターに置き換えたQUADの50Eというアンプがある。
これを原器といえるのか。
トランジスターアンプならではの回路を採用したアンプが、原器となるのか。
そうなるとJBLのトランジスターアンプなのか。
スピーカーの原器とは、といえば、フルレンジということになるのか。
ライス&ケロッグによるユニットが文字通り世界初のコーン型フルレンジユニットなのだから、
原器といえばそういえる。
だが、ここで挙げている原器とはニュアンスが違う。
そうなるとウェスターン・エレクトリックのスピーカーユニットということになるのか。
技術的にはそういえのはわかっていても、
ウェスターン・エレクトリックのスピーカーといえば、どうしてもスピーカーユニットの印象が強すぎる。
スピーカーシステムとしてのウェスターン・エレクトリックが、
家庭用スピーカーシステムの原器とは到底いえない。
スピーカーもまた難しい。
スピーカーユニットとしての原器、スピーカーシステムとしての原器があるからだ。