オーディオの楽しみ方(持っているものをとにかく楽しむ)
ここ数年、CD登場初期の国産CDが再評価されてきている。
おもにCBSソニーの初期のCDがそうであるようだ。
中古店でもけっこうな値段がついているのを見たことがある。
その後、さまざまなリマスター盤が登場するようになる。
CBSソニーはジャズではマイルス・デイヴィス、クラシックではグレン・グールドという、
熱心なファンを抱えている演奏家がいる。
私もそうだが、グールドのリマスター盤が出たとなると、
またか……、と思いつつも、手を伸ばす。
マイルスのファンの知人も同じことをいっていた(やっている)。
決定盤となるようなことをせずに、小出しにしながら、
何度も同じファンに売りつける商売をやり続けている。
ほかのレコード会社も、ここまでひどくはないが、同じようなことはやっている。
だからどうしても手元に同じタイトルのディスクが複数ある。
同じであれば一枚にしぼれるが、音は違う。
同時期の輸入盤とは国内盤でも音は違う。
ここで、喧噪せるマニアの群れあり、となる。
初期CDがいい、
いや、何回目のリマスターCDこそいい、とか。
とにかく白黒つけたがる人が多いように感じる。
私も20代のころは、そんなことにやっていた。
ケイト・ブッシュのイギリス盤のCDはプレス工場が、私が購入したモノでは三ヵ所あった。
同じ音がするとはいえなかった。
だから、どれがいちばんいいのか、聴き較べていた。
これはこれで楽しい行為でもある。
でも40が目前となったころから、どれがいちばんいいのかを判断するのもいいけれど、
同じ音がするモノはこの世にはふたつとない、
だからそれぞれの音を楽しもう、というほうにスライドしていった。
アナログディスク再生には柔軟性がある、と書いた。
けれど、これだけ豊富なリマスター盤が入手できるのだし、
二、三枚のリマスター盤を持っている人は多いはず。
ならばその時々の自分の感覚に応じて、
どのリマスター盤を選ぶのか(鳴らすのか)を決めるのもいように思う。