シンプルであるために(ミニマルなシステム・その13)
ワディアのPower DACはシンプルなのかミニマルなのか、について考える前に、
もう一度CHORDのHUGOについて考えてみたい。
HUGOというD/Aコンバーター/ヘッドフォンアンプをどう捉えるのか。
ヘッドフォンアンプとしてのみ使用している人にとっては、
D/Aコンバーター内蔵のヘッドフォンアンプであり、
このジャンルの機器として見れば、とくにシンプルとかミニマルという印象は受けないだろう。
私がこの項を書こうと思ったのは、HUGOでスピーカーを鳴らしているのを聴いたからだ。
こうなるとHUGOへの印象はまるで違ってくる。
なんとミニマルなモノだろう、と思うし、
これでスピーカーのあれこれを鳴らしてみたい、とも思った。
一月のCESではHUGO TTという、
同コンセプトながら筐体がふたまわりほど大きくなったモデルが発表になった。
価格はHUGOの二倍ほどするようだ。
HUGO TTでスピーカーを鳴らすシステムも、私にはミニマルなシステムということになる。
HUGOがスピーカーを鳴らせるといっても、私はできればフルレンジを鳴らしたい。
マルチウェイのスピーカーシステムであっても、複雑なネットワークを使わずに、
簡素なネットワークで構成されたスピーカーシステムならば鳴らしてみたい。
ダイヤトーンの2S305はどんな感じで鳴ってくれるのか、
JBLの4311はどうだろう、とか、想像している。
間違ってもネットワークの構成素子数の多さを誇っているスピーカーシステムを鳴らしたいとは思わない。
その手のスピーカーを鳴らすには、きちんとアンプを用意する。
そうなればD/AコンバーターとしてHUGOを使ったとしても、もうミニマルなシステムではなくなる。
ということは、ミニマルという印象はHUGO単体が醸し出しているのではなく、
それをどう使ってみようか、という使い手側に潜んでいるということになるのか。