パノプティコンとしてのコントロールアンプ像(その4)
別項「アナログプレーヤーのアクセサリーのこと(その15)」で、
アナログディス再生の、デジタルディスク再生に対しての強みは、
聴き手の感覚に合せられることのできる柔軟性にある、と書いた。
このことは聴き手の感覚を調整していくこと、とも書いた。
つまりデジタルディスク再生の弱みは、この柔軟性に欠ける点ともいえる。
そんな柔軟性は必要ない、という聴き手にとっては、
私が書いていこうとしているコントロールアンプの必要性はどうでもいいことだろう。
だが日本には四季があり、毎日の天候もまったく同じなわけではない。
乾いた日もあればじっとりした日もある。
気持ちいいと思える日もあれば、どんよりした日もある。
エアコンで空調が完全にコントロールされた部屋から一歩も外に出ずにすむ人ならば、
季節の変化に影響されることはないのかもしれない。
けれど、そんなわけにはいかない。
さまざまな事情で外に出ていく。そして実感している。
そういう暮しの中で、一年中同じ感覚を保つということは、終生変らぬ感覚のままということでもある。
そんなことがあるだろうか。
だから私はデジタルディスク再生における柔軟性を、コントロールアンプに求める。
別項「ミキサーはコントロールアンプたり得るのか」で、そのことについて書いていく。
これも、いま私が考えているコントロールアンプ像であり、
ここで書いていくことも、別のコントロールアンプ像である。