オーディオの公理(その3)
私が初めて聴いた真空管アンプも、ラックスのアンプだった。
SQ38FD/IIの次期モデルであったLX38で、
瀬川先生が定期的に来られていた熊本のオーディオ店でのイベントにおいてである。
他にはトランジスターアンプがあった。
何機種あったのかはもうおぼえていないけれど、LX38だけが真空管アンプだった。
トランジスターか真空管という違いよりも、
アンプメーカーによる音の違いが大きいといえばそうなるし、
真空管アンプすべてに共通する音の特質はあるようでいてないような、
そんなはっきりとしないことがあるのはわかっていても、
LX38の音はSQ38FD/IIの後継機であることもあってか、
やはりあたたかい、とか、やわらかい、といわれる類の音ではあった。
この時、瀬川先生が聴きたいモノのリクエストはありませんか、といわれたので、
スペンドールのBCIIとLX38、それにカートリッジはピカリングのXUV/4500Qの組合せで鳴らしてもらった。
この時の音については以前書いているけれど、
われながら、いい組合せだったと思う。
瀬川先生からも「これは玄人の組合せだ」といわれて、嬉しくなったことははっりきと憶えている。
私がお願いしたレコードをかけ終って、「これはいいなぁ」といわれて、
自分で聴きたいレコードをかけられたほどだった。
スペンドールのBCIIの音にもどこかピントの甘いところがある。
LX38の音にもそういうところがある。
だからBCIIの良さをLX38は、うまく抽き出してくれたのだが、
カートリッジにまで同じようにピントの甘い音のものをもってきたら、
おそらく聴くにたえなかった、と思う。
XUV/4500Qには、そういうところはなかった。
これが私にとっての初めての真空管アンプのアンプということなのだから、ことさら印象に残っている。
たしかにLX38の音は、一般的にいわれているような真空管アンプらしい音であった。