真空管アンプの存在(その5)
伊藤先生のアンプは、他の筆者の方の自作アンプとは、たたずまいがまるっきり異っていた。
それは、まだ自作の経験のない中学生にもはっきりとわかるくらいの違いであった。
真空管アンプを自分の手で作るなら、これだ、これしかない、と瞬間的に思い込んでしまった。
次に伊藤先生のアンプを見たのは、
ステレオサウンドで連載が始まった「スーパーマニア」という記事の1回目だった。
その方は、シーメンスのオイロダインとEMTの927Dstを使われていて、
アンプは伊藤先生製作のの300Bシングルアンプとコントロールアンプの純正の組合せ。
カラーではじめて見る伊藤アンプに、またも魅了された。
3回目は、ステレオサウンドの弟分にあたるサウンドボーイ誌に載った、
EL34のプッシュプルアンプの製作記事だ。
この記事がありがたかったのは、製作過程をカラー写真で細部まで明らかにしてくれたことだ。
この記事の写真をよく見るとわかるが、登場するEL34のアンプは1台ではない。
少なくとも2台のアンプを撮影しているのがわかる。
そんなことに気づくほど、写真を何度も見つづけた。