ハイ・フィデリティ再考(Good Reproduction・その2)
High Fidelity ReproductionとGood Reproduction、
どんなに言葉でことこまかに定義してもすべての人から同意が得られるわけではない。
あるスピーカーシステムについて、ある人はハイ・フィデリティだと感じ、
私はグッドリプロダクションだと感じることだってある。反対のことだってあるだろう。
例えばタンノイのKingdomというスピーカーシステムがある。
現在のKingdom Royalではなく、1996年にタンノイ創業70周年記念モデルとして登場したKingdomのことだ。
30cm口径同軸型ユニットを中心に、低域を46cm口径のウーファーで、高域をドーム型トゥイーターで拡張した、
実に堂々としたフロアー型システムである。
ここまで大型のシステムとなると、
物量投入型システムが多いアメリカの製品であって、これだけの規模のモノとなると数は少ない。
Kingdomがイギリスのスピーカーシステムとして、
ヴァイタヴォックスの業務用のBass Binを除けば最大規模といえよう。
Kingdomの重量は170kg。外形寸法こそBass Binよりも小さいけれど、Bass Binの重量も170kgと発表されている。
このKingdomは、ハイ・フィデリティなのだろうか。
Kingdomをハイ・フィデリティかグッドリプロダクションかでわけるとすれば、
ハイ・フィデリティとする人が多いかもしれない。
私は、それでもKingdomはやはりグッドリプロダクションのスピーカーシステムだと捉えている。
確かにこの時代のタンノイの他のスピーカーシステムと較べればHigh Fidelityである。
ということはHigher Fidelityではないのか。
ならばKingdomはハイ・フィデリティではないのか。
それでもKingdomは、はっきりとグッドリプロダクションと言い切る。