VUメーターのこと(その15)
平面であることがすべて悪いわけではなく、
平面であることの良さが感じられるメーターであれば、OPPOの液晶によるメーターをひどいとはいわない。
けれどOPPOのヘッドフォンアンプについているメーターは、平面であることの良さがまったく感じられなかった。
(その12)で、メーターに時計と共通するものを感じる、と書いた。
メーターも時計も文字盤と針があるだけでなく、透明なガラス(もしくはプラスティック)が前面にある。
奥から文字盤、中間に針、手前にガラスが、それぞれの間隔をもって配置され、閉じた空間を形成している。
この間隔が、時計というモノに対しての感覚をつくっているのではないか。
空間の存在しない表示をしてしまう液晶表示のメーターは、何を模倣しているのか。
ただ針の動きを模倣すれば、液晶でメーターが表示できる、というものではないはずだ。
時計もメーターも閉じた空間の中で針が動く。
直読ということでは、針と文字盤による表示よりも、数字での直接表示が有利だろう。
なのに、なぜ針の動きに惹かれるのか、針で表示することにメリットはなにかあるのだろうか。
メーターはアンプやカセットデッキの他にも、テスターにもついている(いた)。
私が最初に買ったテスターは、いわゆるアナログ式テスターである。
大きなメーターがついていた。
そのころデジタルテスターも登場していたかもしれない。
だがデジタルテスターは、当時は高価だった。いまとは違っていた。
デジタルテスターもどんどん安価になっていき、いま秋葉原に行けば、デジタルテスターの方が数多く並んでいる。
私もデジタルテスターを使っている。
どのくらい前になるだろうか。
デジタルテスターがシェアを逆転しはじめたころだった。
ある電気工事の人が、テスターの話をしているのが聞こえてきた。
デジタルテスターも良くなっているけれど、まだまだアナログ式テスターだ、ということだった。