豊かになっているのか(その3)
同等のクォリティであれば、競合製品よりも高い値付けの方が売れる──、
そんな時代がオーディオにもあった。
ケーブルを作っているメーカーが、新製品(新素材)のケーブルをあるところにもちこんだ。
ケーブル会社の人たちは、このくらいの価格で売り出そうと考えています、
そういったところ、「もっと高くした方が売れますよ、高くしましょう」と言われたそうだ。
これはその場に居合わせた人から直接聞いた話で、
ケーブル会社がどこなのか、持ち込み先がどこで、誰が言ったのかも聞いている。
晒し者にしたいわけではないから、そういった細かなことは書かないが、
そういう時代がオーディオにあった、ということは確かなことである。
メーカーも利益をあげなければ事業を継続していけなくなるのだから、
適正価格である必要がある。無理に安くしてくれなくともいい。
メーカーにとっても、高く売れれば、それだけ利益が上るのだから商売としてはいい、ということになる。
それでもメーカー側がこれだけの価格で、といっているのを、もっと高くして売れ、
というアドバイス(?)するのは、おかしなことである。
これと同じような話は、他にも聞いている。
それらは又聞きだったりするので書かないけれど、高くしても売れる、
高くした方が売れた、というのは、豊かな時代だったのだろうか。