電子制御という夢(その23)
電子制御トーンアームを搭載したアナログプレーヤーを出したソニー、ビクター、デンオン三社で、
デンオンだけが業務用アナログプレーヤーを開発製造していた。
その意地なのか、後発のデンオンの電子制御トーンアームが、完成度という点では良くできていたと思える。
デンオンのDP100は、ダイレクトドライヴに不信感をもっていた私でも、
一度聴いてみたい、と思わせるだけの内容だった。
業務用に準ずる、と先に書いているが、
それまでの国産プレーヤーにはほとんどなかった形態で(唯一マカラがあった)、
どこかEMTの930stに通じる、というよりも、意識したところがある。
決して嫌いではないプレーヤーだった。
ただ930stに憧れていた私には、電子制御トーンアームを搭載したDP100Mになると、
トーンアームの部分だけがコンシューマー用になっている感じを受け、
そのわずかなちぐはぐさが、業務用に準ずる、といいたくなる点でもある。
だから当時は、DP100Mではなく、アームレスのDP100のほうに関心が強かった。
DP100MとDP100の差額(200000円)があれば、当時市販されていたトーンアームならばどれでも選べる。
ならば他のトーンアームを選択したい、などと夢想していた。
でも、いまはDP100Mの方に興味がある。
DP100MもDP100も販売店で実物をみたことはあるけれど、
ステレオサウンドの試聴室で聴く機会はなかったし、どこかで聴く機会もなかった。