真空管アンプの存在(その70)
スタックスのCA-Xのスーパーシャント電源のことがすでに頭になかにあったので、
スーパーマニアの小川氏の話を読んですぐに、スタックスのスーパーシャント電源に使われた定電流回路を、
真空管それぞれに用意すればいいわけだ、そう、かなり短絡的に思った。
だが、実際にやろうと考えてすこし真剣に検討すればわかることだが、かなり大変なことだとわかる。
たとえばマランツの#7、マッキントッシュのC22に使われているECC83(12AX7)のヒーターの定格は、
6.3V / 300mA、12.6V / 150mAである。
#7もC22もECC83を6本使っている。これらを定電流点火しようとしたら、
真空管一本したりに専用の定電流回路を用意しなければならず、
12.6Vで点火したとしても6つの定電流回路が、6.3Vならば12個の定電流回路が必要になる。
スタックスのCA-Xの定電流回路は、トランジスター数石を必要とする。発熱もそれなりにある。
放熱対策をしっかりしながら、シャーシー内に組み込もうとすれば、意外にたいへんな作業となる。
やってやれないことはないだろうが、相当に困難なことだとわかった。
定電流回路は他にもある。
たとえばDCアンプの初段は、ほぼすべてアンプで差動回路になっていて、そこには定電流回路が使われている。
こちらは電流値が小さいこともあって、FET一石というものもあったし、
さらには定電流ダイオードというものも登場してきた。10mAくらいまでなら、こんなに簡単なのに、
真空管のヒーター、それも出力管ではなく電圧増幅管になっただけで、難しさは極端に増していく。
1980年代なかばごろ、ラジオ技術誌に真空管のヒーター用の定電流回路が掲載された。
発表されたのは石塚峻氏(いっておくが石原俊氏ではない)。
こんなに簡単にできる? と拍子抜けするくらい、シンプルな回路図が載っていた。
それをみて、TL431なる部品が存在していることも知った。
REPLY))
いつも興味深く読んでいます。
石塚峻
氏ではないでしょうか?
REPLY))
2115Bさま
ご指摘ありがとうございます。
訂正しました。