Date: 10月 20th, 2014
Cate: SP10, Technics, 名器
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名器、その解釈(Technics SP10の場合・その10)

テクニクスのEPC100Cは、
1978年11月にMK2(65000円)、1980年11月にMK3(70000円)に改良されている。
MK2もMK3も聴く機会はなかったが、MK4(これが最終モデルである。70000円)は、
ステレオサウンドにいる時に登場したので、試聴室でじっくりと聴く機会があった。

もともと忠実な変換器を目指して開発され、それをかなりのレベルで具現化しているカートリッジをベースに、
細かな改良を加えていった末のMK4であるから、悪かろうはずがない。

試聴条件は、EPC100Cを聴いたときとずいぶん違っている。
その間に、さまざまなカートリッジを聴く機会があった。
EPC100Cが登場したころとは、他のカートリッジの性能も向上している。

そういう中にあっては、以前のようにEPC100Cの「毒にも薬にもならない」音は、
もう魅力的に感じられなかった。

すこしがっかりしていた。
改良を受けることで、もっと魅力的なカートリッジに仕上っているのでは、と勝手に期待していたからでもあり、
私自身も変ってきていたためでもある。

私にとって一時期までは、日本の音ということでイメージするのは、EPC100Cの音だったことがある。
EPC100Cは製造中止にならず、地道に改良されていけば、名器になったかも、という想いもあった。

EPC100 CMK4を聴いたときから、32年が経ってやっと気がついた。
テクニクスは、一般的なイメージとしての名器をつくろうとしていたのではない、と。
標準原器としてのカートリッジとしてEPC100C MK4を評価すべきだったことに気づく。

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