羽二重(HUBTAE)とオーディオ(その5)
耳の構造は、外耳、中耳、内耳にわけられ、外耳と中耳の境界に鼓膜がある。
この鼓膜を振動板を捉え、鼓膜にボイスコイルに相当するものがついていれば、話は違ってくるのだが、
実際には鼓膜が音を神経に伝えているわけではない。
耳の構造については、いまではインターネットで検索すれば専門的な知識も得られるので、
こまかなことは省略するが、内耳に蝸牛がある。
この蝸牛にはリンパ液が入っていて、このリンパ液の揺れを感覚細胞(有毛細胞)がとらえて電気信号に変える。
電気信号は、蝸牛神経を通って大脳に伝えられる。
有毛細胞はリンパ液に触れている。つまり触覚によって、最終的に音という空気の疎密波を脳に伝えている。
たしかに聴覚は触覚といえる。
味覚はどうか。嗅覚はどうか。
聴覚と同じように調べていけば、触覚が、それぞれに特化した機能といえることに気づくはずだ。
味覚も嗅覚も触れなければ、味や匂いを感じることはできない。
五感ではなく二感。
納得できる。
9月26日の羽二重=HUBTAEの発表会での川崎先生の話をきいていて、このことを思い出した。
菅野先生による音色と音触、
そこに川崎先生の、五感ではなく二感、
聴覚はあきらかに触覚である。
ならば音の色見本は触覚的なモノであるべきなのではないか。
むしろ触覚であることで、直感的に理解できるのではないのか。
さらにいえば、触覚による音の色見本によって、音に対して、より鋭敏になることができるのではないのだろうか。