妄想組合せの楽しみ(JBL D130・その3)
テクニクスのSU-V6のパネルフェイスは、いかにもローコストアンプのそれであって、野暮ったい印象を拭えない。
もうすこしどうにかならなかったものか、といま写真をみてもそう思う。
普及価格帯のプリメインアンプにどこまでデザインの良さを求めるのか、
そのへんの難しさはわかっているけれど、それにしてもSU-V6はほめようがない。
そんなSU-V6はステレオサウンド 52号で登場した。
新鮮品紹介のページで井上先生が、
それからJBL・4343研究で瀬川先生が、それぞれ書かれている。
まず井上先生の評価からみていく。
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SU−V6は、やや音色は暗いが重量感のある低域とクッキリとシャープに粒立ちコントラスト十分な中高域がバランスした従来のテクニクストーンとは一線を画した新サウンドに特長がある。こだわらずストレートに音を出すのは新しい魅力。
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SU-V6のパネルフェイスは、それまでのテクニクスのプリメインアンプのパネルフェイスとは違っていた。
まだ以前のテクニクスのパネルフェイスだったら良かったのに……、と思うほど、悪い方向へと変っていた。
けれどパネルフェイスをそこまで変えたように、音も大きく変っていることが、
井上先生の文章からも読みとれる。
瀬川先生はこう書かれている。
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今回試聴したアンプの中で最もローコストの製品で、外観を眺め価格を頭におくかぎり、正直のところたいして期待をせずにボリュウムを上げた。ところが、である。価格が信じられないような密度の高いクォリティの良い音がして驚いた。ヤマハとオンキョーのところで作為という表現を使ったが、面白いことに、価格的には前二者より安いV6の音には、ことさらの作為が感じられない。
「つくられた音」ということをあまり意識させずに、レコードに入っている音が自然にそのまま出てきたように聴こえ、えてしてローコストのアンプは、安手の品のない音を出すものが多いが、その点V6は低音の量感も意外といいたいほどよく出すし、音に安手なところがない。
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「こだわらずにストレートに音を出す」、「ことさらの作為が感じられない」、
D130の性格を限られた予算の中で活かすのは、こういう音のアンプではないのか。