黄金の組合せ(その20)
これでいいんだという必要量、ここまで必要だという必要量。
AGI・511とQUAD・405、
このふたつのアンプには、どちらも枠をあるからこその魅力をもっていたように、いまでは思う。
405を送り出したQUADというブランドは、もとからそういう枠を実にうまく設定している。
家庭用の、レコード、ラジオ、テープを聴く装置としてのわきまえを心得ているからこそ、
決して大袈裟な製品をつくることはいっさいせずに、
むやすみにクォリティを追求する、というわけでもない。
405は、それまでの303よりも現代的になっている、という評価を得ていた。
出力も303の40W+40Wから100W+100Wになり、そういった枠も拡大していないわけではなかった。
とはいえ、アメリカの物量投入の大型アンプと比較するまでもなく、
コンパクトで発熱量もさほど多くない、消費電力も抑えられている。
これで何が不足なのか、と使い手に問いかけるようなパワーアンプである。
そういう405とペアとなるコントロールアンプ44。
その44と比較すると511は、枠なんて意識していないアンプではないのか、ということになるかもしれない。
私も、511が出て来たとき、405とよく組み合わせられていたころは、
511に、いわゆる枠はないものだと思っていた。
511自体がハイスルーレイトを誇っていたし、
アンプとしての道徳性は、当時もっとも優れていたアンプともいえた。
けれどその後の511の改良のされかた、
そしていま511の音(ブラックパネルの並行輸入品)を聴いてみると、
意外にも枠があることに気がつく。
その枠は、405と同じ、QUADと同じ性質の枠ではないのだけれど、
確かに初期の511には枠がある。