JBL 4350(その14)
「サンチェスの子供たち」と同時期のレコードで、すぐに浮んでくるのは、
フィリップスから出ていたコリン・デイヴィスによるストラヴィンスキーの「春の祭典」と「火の鳥」がある。
これらも試聴レコードとして登場していた。
ステレオサウンド 53号の瀬川先生の4343の記事にも「春の祭典」は出てくる。
〈「春の祭典」のグラン・カッサの音、いや、そればかりでなくあの終章のおそるべき迫力に、冷や汗のにじむような体験をした記憶は、生々しく残っている。〉
何度も読み返しては、その音を想像していた。
国産ブックシェルフの、25cmウーファーでも、
「サンチェスの子供たち」、「春の祭典」、「火の鳥」の録音がいいことははっきりとわかったし、
低音の凄さは伝わってくる。
とはいってもプリメインアンプで鳴らし、音量もけっこう出せた環境とはいえ、
4343、4350Aでこれらのディスクを鳴らしたのと比較すれば、違いは大きいのはわかっていても、
どのくらいの違いなのかは、はっきりとわからなかったころでもあり、
よけいに想像を逞しくしていた。
これらのディスクを4343で聴く機会はわりとすぐにあった。
瀬川先生が熊本のオーディオ店に定期的に来られていた時期があったからだ。
4343を内蔵ネットワークで鳴らして、これだけの音が鳴るのだから、
4343をマークレビンソンのML2のブリッジで低域を鳴らしたときの音はいったいどういうレベルなのか、
さらに4350Aを、やはりML2のブリッジで低域を受け持たせたときの凄さとは、いったいどういう音なのか。
本を読み、その音を想像し、
そのディスクを買ってきて自分のシステムで鳴らし、4343、4350Aでの音を想像する。
4343で同じディスクを聴けば、ML2のブリッジで鳴らした音を想像する──。