モードセレクター(その2)
モードセレクターはほんとうに必要なのだろうか、とそのころの私は考えた。
ステレオ録音のLPを聴くのであればモードセレクターは必要としない。
モノーラル録音のLPを聴くのであれば、ステレオ用カートリッジではなくモノーラル専用カートリッジを用意する。
スピーカーも左右両チャンネル鳴らすのではなく、どちらか片方だけを鳴らす。
こう考えればモードセレクターが必要な機能とは思えなかった。
そのころの私はモノーラル専用カートリッジはまだ買えなかったし、
モノーラルLPの数も持ってはいたけれどいまよりもずっと少なかった。
将来はモノーラルはモノーラル専用カートリッジで、と考えていた私は、
モードセレクターはそういう機能だとしか認識できていなかった。
モノーラル録音をステレオ装置で聴くためのスイッチとして機能しかないように考えていたわけだ。
この考えはけっこう長かった。
20代になっても30代になってもモードセレクターの必要性は感じることがなかった。
モードセレクターに対する認識がはっきりと変ったのは40代になってからだ。
モードセレクターはチェックのために必要な機能だ、とやって気がつくことができた。