EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その3)

EMTの930stで聴いた松田聖子のレコードは、
それぞれの演奏者が適切な位置関係で鳴っている、という感じがあった。

松田聖子がアカペラで歌っていたら、
930stとガラードの301を中心としたプレーヤーシステムのどちらがいいのかを判断する時には、
松田聖子の熱心な聴き手ではない私でも、松田聖子の声のみにフォーカスすると思う。

けれどこの時聴いた松田聖子のレコードは、そんなアカペラのレコードではなかった。
(松田聖子にアカペラの曲があるのかも実は知らない)

当然楽器の演奏者が複数いる。
松田聖子は歌手だから、中央に位置しているし、しかも横一列の中央ではなく、
バックの演奏者、という表現がすでに示しているように、
彼らよりもすこし前に位置している。

その上で、松田聖子のバックにそれぞれの演奏者がいる。
この位置関係が、そしてそれぞれの距離関係が、930stで聴いていると、実に適切であるように聴こえる。

実際のレコーディング風景を知っているわけではないから、
930stが提示する松田聖子のレコードでの位置関係が、ほんとうに正しいものかどうかは断言はできない。
それでも930stが示す位置関係を聴いていると、そこに不自然さは感じないどころか、
くり返しになるが、適切な位置関係と感じられる。

そしてこのことと関係して、広いスタジオで歌っている感じが伝わってくる。

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