〝言葉〟としてのオーディオ(その6)
アクースティック蓄音器には、いっさい電気は使われていない。
機械仕掛けだけでSPレコードを回し、そこに刻まれている溝を音へと変換する。
ボリュウム調整も、だからできない。
いわば原始的な再生装置である。
周波数レンジも広くないし、ダイナミックレンジだって狭い。
ノイズも多い。
電気の恩恵が一切ないことが、こういうものなのか、とネガティヴな方向に感じる人がいる。
反対に、電気仕掛けが一切ないことは、こういう音なのか、とポジティヴな方向に感じる人がいる。
どちらが正しいのか、それについて書かない。
その人が過去に、もしくは現在でもいい、
どういうアクースティック蓄音器を聴いてきたかに大きく関係していることであるし、
それだけでなく、その人が聴く音楽によっても、どう感じるかはまるで反対の方向を向く。
それによって、「蓄音器的」という表現の受けとめ方(それに使い方)は異る。