オーディオの「介在」こそ(その2)
瀬川先生は、音と風土の関係について、熱心に語られていた。
この「風土」ということばには、「風」がある。
「風」がある言葉で、音を表現することに関係している、もしくは使えそうな言葉をひろっていくと、
風景、風格、風潮、風圧、風合、風韻、風雅、風趣、風情……、といったところだろう。
風琴もある。いうまでもなくオルガンのことだ。
音には「風」の側面ももっているように、感じている。
そう考えていくと、音圧ではなく風圧、地響きではなく風を、
部屋の中に起こすことがオーディオにおける低音再生のコツ、というよりも真髄のようにも思えてくる。
音と風土ということでは、JBLの音について、
以前はよく、カリフォルニアの「空」を思わせるようだ、という表現がよく使われていた。
なぜ「空」だったのかと考えれば、写真で、そのイメージを視覚的に伝えることが容易だからではないだろうか。
だが、JBLの音は、カリフォルニアの「風」を感じさせる、というほうが、より本質的な表現にならないだろうか。
カリフォルニアの「風」を感じさせるように鳴ったとき、
JBLのスピーカーは本領発揮をしているといえるような気もする(カリフォルニアに行ったことはないけども)。
ここに、音と風土の関係性があるといえるのではないだろうか。