妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その11)
ワーグナーの「パルジファル」にも、そういう美しい旋律があることを、
何度か、通しで聴いていくことで気づくことができた。
マーラーの第二交響曲の第二楽章の、美しい旋律に、
ほんとうの意味で気づいたあとは、それまで聴いてきたレコードを聴きなおし、
己の聴き方の未熟さを思い知った。
それでも気づくことができたから、いい。
クナッパーツブッシュのバイロイト盤で「パルジファル」を聴いてきた。
1980年代、クナッパーツブッシュのバイロイト盤のほかにも、「パルジファル」のレコードはあった。
カラヤンがあり、ショルティ、ブーレーズのレコードがあった。
私が聴いてきたのはクナッパーツブッシュだけだった。
つまりは、クナッパーツブッシュのレコードしか、「パルジファル」に関しては持っていなかったからだ。
持っていないレコードは聴きようがない。
なぜ、ほかの指揮者のレコードを買わなかったのか。
特にこれといった理由はなかった。
私にとって二枚目の「パルジファル」はカラヤン盤である。
こんな聴き方を人にはすすめはしないけれど、
クナッパーツブッシュでのみ聴いてきたことを、後悔はしていない。