マルチアンプのすすめ(その16)
私のなかでは、イギリスのスピーカーシステムを中心に、
ヨーロッパのスピーカーシステムをマルチアンプで鳴らそうという気持は、
ほとんどというより、まったくない。
仮にヴァイタヴォックスのCN191、タンノイのAutographを自分のモノとして鳴らすことになり、
これらのスピーカーから最上の音を出そうとしてマルチアンプ化するかといえば、やらない。
シーメンスのオイロダインに関してもそうだ。
オイロダインをマルチアンプで鳴らそうと考えたことはない。
だからといって、メーカーでマルチアンプ仕様としているスピーカーシステムを認めないわけではない。
メリディアンのM20はマルチアンプで、いいスピーカーだと思っている。
私はPM510を選んだが、PM510という存在がなければマルチアンプ仕様のLS5/8に惚れ込んだかもしれない。
これらの他にも聴いたことがないから、よけいにいまでも聴きたいと思っているスピーカーシステムに、
ドイツのK+Hのモニタースピーカーがある。
O92とOL10である。
どちらもマルチアンプ仕様の3ウェイ・システムだ。
もうひとつ、KEFのModel 5/1ACだ。
KEFが独自にLS5/1Aをマルチアンプ仕様にモデファイしたモデルである。
LS5/1Aの時代は管球式の専用パワーアンプ(高域補整を行っていた)がついていたが、
Model 5/1ACではトランジスターアンプになり、マルチアンプ化された。
ユニット構成に変更はない。
昔からヨーロッパ製のスピーカーシステムにはアンプ内蔵で、マルチアンプ仕様というものが存在していた。
いわゆるアクティヴ型スピーカーシステムと呼ばれる形態であり、
パワーアンプを自分の好きなモノにできないということで、
アクティヴ型を敬遠する人もいるけれど、私はそのことに特にそういう気持はない。