LINN EXAKTの登場の意味するところ(その7)
dbxの20/20の威力は、ステレオサウンドの試聴室で何度か体験している。
何回かはステレオサウンドの試聴室ではないところでも体験している。
ステレオサウンドでの池田圭氏の「フラットをもってものごとの始まりとす」の連載は、
N(Jr.)さんが担当だった。
試聴室でもそれ以外の場所でも、20/20の操作を担当していたのはN(Jr.)さんだった。
完全に自動化されているのであれば、誰が使っても同じだし、
誰にでもすぐに使えるのが本来の姿ではあっても、
20/20が登場したのは1981年、いまから30年以上前のこと。
まだパソコンという言葉はなかった。
あったのかもしれないが、マイコンという言葉のほうが一般的だった。
それにまだAppleからMacintoshも登場していない、そんな時代の自動化としてみれば、
20/20の完成度は決して低いといえなかった。
むしろ、この時代のモノとしてよく出来ていた、といえよう。
それでも20/20が大きく注目されることはなかったように感じていた。
いつしか話題にならなくなったし、20/20の後継機がdbxから登場した、というニュースも届かなかった。
私も当時はそうだったし、たぶん多くのオーディオマニアもそうだったのではないかと勝手に思っているけれど、
オーディオの調整は機械まかせではいけない──、そんな風潮がどことなくあった。
グラフィックイコライザーを使うのはけっこうなことだが、
その調整を機械まかせにしていてはダメで、
自分で各周波数のツマミを動かして調整しなければならない。
いわば粋がっていたわけだ。少なくとも私は。