マルチアンプのすすめ(その11)
気に入ったスピーカーシステムというのは、たいていそうであるのだが、
他に変え難い魅力をもっているモノである。
たとえばBBCの小型モニターのLS3/5A。
大きな音は出ないし、低域もそれほど低いところまで出せるわけではない。
それでも、このスピーカーシステムに惚れ込んでいる人は、
古いスピーカーシステムにも関わらず、いまも少なくない。
だからこそ復刻モデルがいまも出ているわけだ。
LS3/5Aは万能のスピーカーシステムとは言い難い。
使い手が、このスピーカーシステムのことを理解していなければ、
欠点のほうが多いではないか、ということになるだろう。
実際、インターネットの掲示板で、LS3/5Aが高く評価させれている理由がまったく理解できない……、
そんな書き込みを目にしたのは一度や二度ではない。
それはそれでいい。
わからなければそれでいいじゃいか。
わかる人だけで楽しむモノだから、と思っている。
私もLS3/5Aには惚れ込んだ一人である。
この小型スピーカーをできるだけよく鳴らしたい、と考えていた。
瀬川先生はステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界」で、
LS3/5Aに対して、アナログプレーヤーにEMTの928、
パワーアンプにルボックスのA740を組み合わせられていた。
そこまでしたくなる気持は、この小さなスピーカーの魅力にまいってしまった人ならば、
そこまでやるかやらないかは別として、心情的に理解できよう。
価格的に不釣合いの高価なプレーヤー、アンプを持ってくる。
どこまでがLS3/5Aが限界なのかは、そこまで試したことはない。
オーディオ的楽しみとして、試してみたい候補はある。
やはりLS3/5Aよりもずっと高価な組合せとなる。
でも、だからといって、LS3/5Aをマルチアンプ駆動で鳴らしたい、とはまったく思わない。