シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その4)
音像についての感じ方は、じつに人さまざまだ、ということに気がついたのは、
ステレオサウンドで働くようになってからだった。
感じ方もそうなのだが、それ以降思うようになったのは、
音像そのものの捉え方が人によって、これもさまざまだということである。
これについては、いずれ音場と音像をテーマにして書くつもりでいる。
だから、ここではこれ以上深くはふれないが、
音像について、私のように非常に気にする人もいれば、まったくそうでない人もいる。
その中間ぐらいの人もいる。
だから私のように気にする人のいうことは、
まったく、もしくはあまり気にしない人にとっては、
マルチウェイのスピーカーシステムの音像に対して、安定さを欠くようには思わないだろう。
それにスピーカーシステムだって、20年前、30年前のモノからすれば、
この点も改善されているのはわかっている。
それでも、よくできた小口径から中口径のフルレンジユニットを素直に鳴らしたときの、
音像の良さの安定感は、安心して聴ける、という点で、やはりはっきりとした違いをいまも感じてしまう。
聴く音楽によっても違ってくるのだが、
音像に不安定さを感じさせるスピーカーシステムで聴く場合、
あえてセンターから外れたところで聴きたくなるときもある。
センターに坐れば、それだけシビアに気になってしまう。
ならばいっそのことセンターからある程度外れたところで聴けば、
特にセンター定位の音像の不安定さに心を惑わされずに、気にすることなく聴けるということもある。