Noise Control/Noise Designという手法(その6)
本を読むとき、手にとる。私の場合、机の上に置いて、本に触れずに読むことはまずない。つねにふれている。
ふれることで、本文が印刷されている紙の質感、それに表紙に使われている紙の質感、
本の重さなどを、指で感じている。
これらは、文字を読むうえで必要なことではない。そうなると、ノイズといえる。
さらにインクや紙の匂い。これも本を意識させている要素ではあっても、文字を読むのに必要なものではない。
視覚的なものでは、紙の色、文字の色やにじみといった要素も、ノイズといえる。
これらのノイズによって、われわれは「文字を読む」のではなく、「本を読む」と認識しているような気がする。
これらの「ノイズ」は、文字を読む上での騒音(die)となっているのだろうか。
邪魔なものだと感じている人は、おそらくいないだろうし、いたとしても、ごくごく少数のはずだ。
S/N比=無限大、という非現実的な例と、本という現実的で身近な例を対比させることで、
ノイズとはなんなのか、が見えはじめてくる。