「オーディオ彷徨」
岩崎先生の遺稿集「オーディオ彷徨」。
気温がさがっていくこれからの季節、夜、ひとりで読むにぴったりの本だとあらためて思っている。
友人のAさんも「オーディオ彷徨」に惚れているひとりだ。
彼と私の共通点はそんなにない。
歳が同じこと、オーディオが好きなことぐらいか。
それ以外のことはそうとうに異っているが、そんなことに関係なく、
ふたりとも「オーディオ彷徨」を読むと、ジャズが聴きたくなる衝動にかられる。
ふたりとも、聴く音楽のメインはジャズではないのに、である。
「オーディオ彷徨」はいちど絶版になっている。
それを、当時ステレオサウンド編集部にいたTNさん
(彼はジャズと岩崎先生の書かれるものを読んできた男)が、
情熱で復刊している。彼も衝動に突き動かされたのだろう。
岩崎先生の文章には、人を衝動にかり立てる力がある。
そして衝動が行動を生み、
行動が感動を生むことにつながっていく。
衝動、行動、感動、すべてに「動き」がつく。
動きには、力が伴う。動きには力が必要だ。
岩崎先生の言葉には、力が備わっている。私はそう感じている。