4343とB310(その3)
ボザークは、この項の(その1)にも書いているように、
スピーカーユニットのラインナップは、4種類だけである。
JBLは、1978年の時点(ステレオサウンド発行のHiFi Stereo Guideに掲載されている単売ユニット)で、
フルレンジユニットが17、トゥイーターが4、ドライバーが9、ウーファーが14種類ある。
スピーカーメーカーとして、JBLとボザークを対比させていくと、
西海岸と東海岸、バスレフ型やホーン型エンクロージュアが主流のJBLと密閉型のボザーク。
スピーカーユニットの数も大きく違うが、その振動板においても、
JBLは、コーン型ユニットだけに絞っても、形状、制振材の塗布の有無、紙の質などが、
それぞれの用途によって使い分けられている。
ボザークは、ウーファーはパルプコーン、それ以外はメタルコーンで、
どちらも不要な振動を抑える工夫がなされている。
JBLのラインナップの多彩さ、派手さのまえでは、ボザークは地味にうつる。
スピーカーユニットの使用法においても、JBLは4350のダブルウーファーを除くと、
基本的にはパラレル使用はほとんどない。
ボザークは、東海岸の他のメーカーと同じように、ダブルウーファーだけでなく、
スコーカーやトゥイーターも、多数使用している。
そして4343は瀬川先生が愛用されたもの、B310は井上先生が愛用されたもの。
このふたつのスピーカーシステムには、ひとつの共通点があり、
それは瀬川先生と井上先生のスピーカーに対する考え方の共通点ともいえるのではないだろうか。