オーディオの楽しみ方(キースモンクスのトーンアーム・その5)
トーンアームは、トーンアームというオーディオ・コンポーネントである。
そうはいっても、トーンアームを、
ほかのコンポーネント、たとえばスピーカーシステム、アンプ、チューナーとまったく同一視できるかといえば、
そうとはいえない性格も持ち合わせている。
トーンアームは、スピーカーユニットに近い。
スピーカーユニットは、フルレンジユニットであれば、
それ単体を床に転がして状態でも鳴らそうとすれば、音は鳴ってくれる。
けれどトゥイーターだと、すくなくともローカットフィルターは最低必要になる。
スピーカーユニットは、他のユニット、ネットワーク、エンクロージュアと組み合わせて、
ひとつのスピーカーシステムを構成する上での部品(パーツ)でもある。
トーンアームも、ターンテーブル、キャビネット、カートリッジと組み合わせて、
アナログプレーヤーシステムを構成する部品(パーツ)である。
その意味でトーンアームはスピーカーユニットに近いといえ、
トーンアームはそれでも半完成品の性格も、さらに持っている。
スピーカーユニットは購入してきて箱から取り出せば、
それでスピーカーユニットとしては完成された製品といえる。
トーンアームは、箱から取り出しただけではトーンアームの形になっていないモノがほとんどだ。
メインウェイトを取り付け、モノによっては針圧調整用のサブウェイトも取り付ける。
SMEならばインサイドフォースキャンセラー用の糸吊りの重りのためのステーを取り付ける。
その上で、重りをセットする。
トーンアームがほかのモノだと、このへんは少し変ってくるけれど、
購入したユーザーがいくつかのパーツを自らの手で取り付けることで、
トーンアームはトーンアームとしての形をとることができる。
その意味で、トーンアームには半完成品の魅力を感じるし、
その半完成品の魅力が、あれこれを考えさせることにも、私の中ではつながっている。