オーディオ 夢モノがたり(その4)
世の中の大半のスピーカーはピストニックモーションであるけれど、
ごくわずかではあってもピストニックモーションではない発音原理のスピーカーが存在する。
ベンディングウェーヴによるもので、
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニット、マンガーのBWTユニットがある。
DDD型ユニットにしてもBWTユニットにしても、振動板がないわけではない。
どちらにも振動板(板というよりも膜といったほうがいい)はある。
このふたつのユニットは振動板をピストニックモーションさせてない。
ここが決定的に異る点である。
マンガーのBWTユニットの振動板に触れたことはないが、
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットのチタンの振動板には触れている。
チタンといえば強度の高い金属と思われている方もいると思うが、
DDD型ユニットに採用されているチタン膜は薄く、感触としてはぷにょぷにょしている。
つまりボイスコイルから伝わってきた振動は、振動板を前後に動かす(ピストニックモーション)のではなく、
振動膜を波打たせる。
ベンディングウェーヴ方式にとって、ピストニックモーションにおける振動板の質量は、
振動膜の動きやすさ(きれいに波打つことができるかどうか)である。
これは考えようによっては、振動板の質量からの解放である。