黄金の組合せ(その17)
AGI・511の天板(といっても平らな板ではなく、コの字上になっている)を取り、
内部を見ると、大きなプリント基板が目に入る。
この基板に、フォノイコライザー、ラインアンプ、電源トランス以外の電源部を構成する部品が取り付けられている。
プリント基板はもう一枚使われていて、これはリアパネルの入出力端子が取り付けられていて、
この、少し小さめのプリント基板とメインのプリント基板はフラットケーブルで結ばれている。
リアパネル右側から入力端子が配置されていて、左側にはACアウトレット用のコンセントがある。
この裏側にトランスが、もうしわけなさそうについている。
扱う信号レベルがもっとも低いフォノイコライザーから物理的に遠いところに電源トランスを置く。
平面上でだけ考えればシャーシーの隅となる。
511では平面上だけの遠い距離ではなく、
プリント基板と同一平面上よりも高いところに取り付けることで、
立体上での距離を確保しているわけだ。
511は主要増幅部はOPアンプだから、完全にディスクリートで構成されたアンプよりも、
消費電流は少ないだからそれに見合った容量の電源トランスといえなくもない。
それでも、ほんとうに小さいな、と思ってしまうほどのサイズである。
平滑用のコンデンサーの容量も、大きいといえない。
定電圧回路を採用しているとはいえ、いかにも最小必要限度の電源部だろう。
どちらかといえば物理投入のアンプが多いアメリカにおいて、この電源部である。
単にケチくさいとはいえないようにも思う。
節倹というべきなのかもしれない。