オプティマムレンジ考(その6)
スピーカーの測定の条件として、アンプの出力は1Wが基準となっている。
HIGH-TECHNIC SERIES 4の実測の周波数特性も1W入力時のものである。
このときD130の音圧レベルは100dBをこえる。
100dBの音圧といえば、かなりの音量である。
いまのところD130を、このレベルでは鳴らしていない。
ふだん聴く音量は、100dBよりもずっと低い音圧である。
そういう音圧時のD130の特性はいったいどうなるのか。
D130をソロで鳴らして、そのことに強い興味をもっている。
いまどきのワイドレンジのスピーカーシステムは総じて能率が低い。
いまや90dBあると能率が高い方に分類されるくらいで、
当然だが入力1Wでは80dBとか85dBとか、D130の100dB越えの音圧からすると、
20dB前後の差のある、低い音圧である。
同じ条件(入力:1W)で測定しているとはいえ、
これは別の見方をすると同じ条件とはいえない面ももつ。
条件を同じするということは、入力を1Wにするだけでなく、
たとえば同じ音圧での周波数特性を測定してみることでもあるはずだ。
つまり現代の、決して能率の高くないスピーカーシステムを、
D130の1W入力時で得られる音圧と同じレベルまであげてみての測定、
それからD130への入力をぐっと小さくして、
現代の低能率スピーカーシステムの1W時の音圧レベルと同じになるまで入力を絞っての測定。
すくなとも、これらの測定を行ってほしい、と思う。
そうしたときにD130の周波数特性は、
現代のスピーカーシステムの周波数特性は、
それぞれどういう変化をみせるのか、
それともまったく変化しないのだろうか……。
すくなくともD130の小音量時の周波数特性は、
1W入力(100dBの音圧)時の特性とは違うカーヴを描いているような気がしてならない。
つまりアルミ製ドームの共振は、1W入力時のように明確に発生しているとは考えにくいのだ。
すくなくとも、いま私の目の前にあるD130を聴いているかぎりでは。