オプティマムレンジ考(その4)
D130をソロで鳴らすことは、ネットワークを介在させないことであり、
パワーアンプとのあいだにはスピーカーケーブルとコネクターだけということになる。
ウーファーのハイカットフィルターにはコイルが直列で挿入される。
6dB/oct.の減衰カーヴでも、最低でもこのコイルがひとつ介在する。
12dB/oct.では並列のコンデンサーがあり、
N1200の場合、直列のコイルと並列のコンデンサーがD130に接がっているわけで、
これらはなくなる。
それでもD130の実測の周波数特性、
それにHIGH-TECHNIC SERIES 4における、菅野先生、岡先生、瀬川先生による鼎談の試聴記も読んでいる。
もう先入観たっぷりで、D130のソロの音を聴いた。
拍子抜けとは、こういうことをいうのかもしれない。
たしかに175DLHがなくなっているから、高域のレンジはさらに狭くなっている。
けれどどう聴いても、アルミ製ドームの共振を利用してもせいぜい5kHzどまりの鳴り方とは思えない。
ネットワークがなくなったことによる音のメリットも大きいことはわかる。
それで表面的な鮮度の良さではなく、ほんものの鮮度の良さが感じられるがゆえに、
高域も延びているように感じた──、そういうのともあきらかに違う。
実測したわけではないから、あくまでも聴感上でいえば10kHzは無理でも、
7kとか8kHzまでは出ているような気がする。
どう聴いても、HIGH-TECHNIC SERIES 4の実測の周波数特性からイメージできる音ではない。