Date: 7月 8th, 2013
Cate: オプティマムレンジ
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オプティマムレンジ考(その3)

D130を「ソロで鳴らす」──、
こんな言い方をせずに、わかりやすくD130だけで鳴らす、とか、D130をフルレンジとして鳴らす、
D130一発で鳴らす、とか、そんな書き方をせずにあえて「ソロで鳴らす」としたのは、
岩崎先生が、この表現を使われているのを読んで、そのときの印象が強かったから、
とにかく「ソロで鳴らす」と書きたかったし、書くだけでなく、実際にD130をソロで鳴らしてみたかった。

D130はフルレンジユニットということに一応はなっている。
口径は15インチ(38cm)、センターキャップをアルミ製のドームにしているとはいえ、
一般的な認知としてはトゥイーターを必要とするフルレンジということになろう。

私もそんなふうに思ってきていた。

これも岩崎先生が書かれていることなのだが、
岩崎先生のリスニングルームに試聴用にオーディオ機器を持ち込むメーカーの人たちに、
だまってD130のソロを聴かせる。
トーンコントロールで高域をブーストしているとはいえ、
トゥイーターはない、D130は高域もそれほど延びているわけでもない。
にも関わらず誰ひとりとして、D130がソロで鳴っていることに気づいた者はいない、とのことだった。

D130の実測の周波数特性はステレオサウンド別冊 HIGH-TECHNIC SERIES 4に載っている。
低域は80Hzから下はダラ下り。高域は30度の周波数特性をフラットにするためだろう、
正面(0度)の周波数特性は1kHz以上はアルミ製ドームの存在によるのだろうが、レベルが数dB以上上っている。

3kHzをこえてしはらくしたらディップがあり、
5kHzの少し下のところにピークができ、それ以上は急激にレスポンスが低下する。
5kHzのピークはアルミ製ドームの共振を利用しており、だからそれ以上の帯域は再生限界といえる。

D130の高域が、低域のようにダラ下りであればトーンコントロールでブーストすることである程度は補えようが、
D130の周波数特性を見る限り、トーンコントロールで簡単に補整できるとは思えない。

だから、ずっとD130がソロで鳴っていることに誰も気がつかないは、
にわかには信じられなかった。

このことを検証するためにも、ソロで鳴らしてみた。

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