wearable audio(その2)
ボディソニックは、私がオーディオに関心をもち始めた時と同じころに登場したように記憶している。
パイオニアから、当時は出ていた。
いま思うと不思議なのだが、なぜかボディソニックはアメリカ生れの製品で、
パイオニアが取り扱っているだけ──、そんなふうに思い込んでいた。
おもしろそうな製品とは思いながらも、
まずそんなふうに誤解から始まっていたわけで、
あくまでもヘッドフォンで音楽を聴くときの補助的な製品と決めつけていた。
1970年代はオーディオ雑誌にボディソニックの広告が載っていた。
1980年代にはいると見かけなくなったように記憶している。
さほど関心があったわけではないので、載っていたとしても私の記憶に残っていないだけ、ということもありうる。
実はボディソニックを体感したことはない。
何かの試聴が終った後に、低音再生の話になった時に、
井上先生が「ボディソニックはおもしろいぞ」と言われたことは憶えている。
井上先生は学生のとき、ウーファーを取り付けた箱を椅子にして音楽を聴いていて、
それもなかなかおもしろかった、と話してくれた。
音の振動が直に体に伝わってくる。
これがうまくいったときの快感は「おもしろく」、
井上先生の話をきいていると、楽しそうだったものの、自分でそれを試そうとまでは思わなかった。
1980年代に、一度はボディソニックのことが話題にのぼったものの、
結局そのときかぎりになってしまった。