オーディオ機器の調整のこと(続々続・認識の違い)
いままでオーディオのなかった部屋にシステム一式を設置することになったとしよう。
スピーカーシステムを置き、ラックの設置、そのラックへのアンプやCDプレーヤー、アナログプレーヤーの設置、
そのあとにケーブルでそれぞれの機器を結線していく。
電源もとる。
ここまでのことはセッティングということになる。
ここをいいかげんにやっていては、次の段階がうまくいかなくなるし、
たまたま偶然が重なってうまくいったとしても、そんなことではオーディオ機器の調整は身につかない。
セッティングは調整をスタートするための、いわば準備である。
だからこそしっかりと準備することが大事であり、
このセッティングには、アナログプレーヤーにおけるカートリッジまわりの調整も含まれる。
バイアンプ(マルチアンプ)駆動のスピーカーシステムであれば、
各帯域のレベルの調整もセッティングの範疇である。
使用するカートリッジの標準針圧が2.5gであれば、まずは2.5gに合せる。
トーンアームの高さも調整する。
カートリッジの傾きもチェックして、傾きが視覚的に確認できれば水平とする。
(ただしこの部分に関しては、さらに次の段階がある)
インサイドフォースキャンセラーがあれば、まずは針圧と同じ値とする、など、
こういった調整をやるわけだが、これは厳密な意味でのオーディオ機器の「調整」とはいえない。
あくまでも「調整」という次の段階のための準備なのである。
4350(4355)を鳴らすとしても、とにかく音を出して帯域のバランスをおおまかに合せる。
これも厳密な意味でのオーディオ機器の「調整」ではなく、やはり準備である。
これらの準備がきちんとできないままに「調整」にうつってしまっては、
いわゆる泥沼に嵌ることになる可能性が高くなるし、
いつまでたっても準備のところにとどまっていることに気がつかないことにもなる。