終のスピーカー(その11)
田中一光氏のHarknessは001システムだから、
ウーファーは130Aに175DLHを組み合わせ、ネットワークはN1200ということになる。
JBLのSpeaker System Component Chartには、D130と175DLHの組合せはない。
それでも岩崎先生のことだから、きっと130AではなくD130なのだという確信はあった。
トゥイーターは、通常ならば075ということになるけれど、
やはり岩崎先生ならば175DLHのはず。
これも確信があった……、わけだが、
それでも「Harkness」と対面するまでは、もしかすると……ということも頭を過っていた。
「Harkness」に7はD130、175DLH、ネットワークはN1200がついていた。
やっぱり、という気持と、ほっとしたという気持があった。
D130ではなく130Aだとしたら、「Harkness」の、私にとっての意味合いがわずかとはいえ変化してくる。
130AはD130をベースにしたウーファー、そう大きくは違わないだろう、という人もいるだろうし、
私だって他人事ならば、めんどくさいと感じている時であれば、そんなことう口にしてしまうかもしれない。
でも、私にとってD130なのか130Aなのかは、大きな違いとなっていた。
「Harkness」が憧れのスピーカーとしてだけ私のところにやってくるのか、
それとも「異相の木」としても私のところへやってくるのか、
この違いが、私にはとても大きかった。
「Harkness」は、その両方であった。
ステレオサウンド 45号での田中一光氏の見事な使い方に憧れたスピーカーシステムであり、
いつしか私のなかで芽生えていた「異相の木」としてのD130をおさめたスピーカーシステムである。