Date: 6月 15th, 2013
Cate: 調整
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オーディオ機器の調整のこと(その8)

SMEの3009/SeriesII Improvedはスタティックバランス型だから、
ゼロバランスをくずせば1.5g以上の針圧をカートリッジにかけられるわけだが、
あくまでも3009/SeriesII Improvedはシュアーのカートリッジ(V15)に対して、
最良点をさぐり出す(合せこむ)ためのトーンアームとして設計されている。

日本には正規輸入されたのかは知らないが、
3009/SeriesII Improvedにはヘッドシェル一体型のタイプも存在する。
トーンアームの先端部に、交換用のコネクターがあればその分だけ重量が増し、
実効質量も増え、軽針圧カートリッジ用のトーンアームとしては感度の低下を生じさせることにつながる。

最大針圧を1.5gにするくらい思いきった3009/SeriesII Improvedだから、
交換用のコネクターを排するくらい当然のことといえよう。

ただ興味深いと思うのは、
3009/SeriesII Improvedのあとに登場した、
さらに軽針圧カートリッジへターゲットを絞ったトーンアームと思われる3009/SeriesIIIは、
最大針圧2.5gとなっていることである。

トーンアームパイプにチタニウムを採用し、
当然のヘッドシェルとパイプの一体化と、
3009/SeriesII Improved以上に徹底した軽針圧カートリッジ対応と思える設計──、
オーディオ雑誌にも軽針圧専用トーンアームといった紹介がなされていた。

けれど、実のところ、3009/SeriesIIIに導入された諸々のことは、
軽針圧カートリッジ専用ということよりも、
高感度トーンアームの実現のためなのではなかろうか。

このころのアイクマンがカートリッジに関して、
あいかわらずシュアーだったのか、それとも他のカートリッジへと移っていたのか、
もしくは他のカートリッジも使うようになっていたのか。
いまのところ、そのことに関する情報は何も持っていないけれど、
もしかすると2g前後の針圧のMC型カートリッジを使っていたのではないか、
3009/SeriesIIIは、
その種のカートリッジを含めて使えるように開発・設計されたトーンアームのような気がする。

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