黄金の組合せ(その12)
フィードバックといえば、特にことわりがなければ、ネガティヴフィードバック(NFB)のことである。
フィードバックの前にネガティヴがつくことからも推測できるように、
フィードバックにはポジティヴフィードバック(PFB)もある。
PFBは同相で、NFBは逆相で信号を出力から入力側へ戻す。
つまりNFBをかければゲイン(増幅度)は低下し、PFBをかければゲインは増える。
PFBは真空管アンプの時代から使われている。
小容量のコンデンサーを使い高域だけPFBをかける。
NFBをかける前のアンプの高域のゲインを充分に確保するために行う手法である。
AGI・511の小容量のコンデンサーを使ったフィードフォワード、
その手法も理解してしまえば、このPFBの手法と通じるところがあることに気づく。
気づくと、511の設計者、デヴィッド・スピーゲルの発想とセンスに23歳の若者とは思えぬ、
ある種のしたたかさみたいなものを感じるし、
同時に定型なアンプにとどまらない意地に近いもの、
こういうところが、私のなかではQUADのピーター・ウォーカーと重なっていくのである。