黄金の組合せ(その10)
ステレオサウンド 42号に載っているAGIの輸入元であったRFエンタープライゼスの広告には、
オーディオアンプに初めて採用された〝コンバインド・アンプ〟の手法です、とある。
これを読んでも、何も意味しているのかわからなかった。
いまだからはっきりといえるけれど、このAGIの広告を書いた人も、詳細まではわからずに書いていたはず。
別に批判しているわけではなく、当時、511の回路図を見て、的確にどうい特長をもつのか、
すぐに理解してわかりやすく言葉で説明できる人は少なかったであろうから。
AGI・511の回路がどうなっているのかは、ずっと関心があった。
とにかく知りたかった。
けれどインターネットで検索しても見つからなかった。
ここ数年、やっと不鮮明な回路図が見つかるようになった。
画像そのものが小さいし、解像度も低いため拡大しても細部は確認し難い。
わかるのはOPアンプの外付け部品としてトランジスターが5石使われていることであり、
入力信号はOPアンプに入力される前に分岐され、
ひとつはOPアンプへ、もうひとつは、この外付けトランジスターで構成される回路へと入力される。
ただ外付けのトランジスターによる回路へと直結されているわけでなく、
小容量のコンデンサーを介している。
これでは高域のみしか、この外付けの回路には入力されない。
つまりハイパスフィルターの働きを、この小容量のコンデンサーはしている。
もう少し手がかりとなる資料はないかと探していたら、
スイングジャーナルに載った広告の中に、回路の概略図があった。
この概略図はインターネットでも、いま見ることができる。