黄金の組合せ(その9)
AGI・511には、3つのヴァリエーションがあることが、井上先生の記事からわかる。
511はフォノイコライザーアンプ、ラインアンプともにOPアンプを中心に構成されたアンプである。
初期の511のフォノイコライザーアンプには、フェアチャイルド製のμA749というOPアンプが使われている。
このOPアンプは2チャンネル分を1パッケージにおさめた、いわゆるデュアルタイプで、
井上先生が記事にも書かれているように初段の差動回路はバイポーラトランジスター、
それ以降もすべてバイポーラトランジスターで構成されており、FETは使われていない。
つまり瀬川先生が高く評価されている511は、
このフェアチャイルドのOPアンプμA749がフォノイコライザーに使われているモデルのことである。
μA749のデータシートは、インターネットで検索すればすぐに見つかりダウンロードできる。
検索のときにはμA749ではなく、UA749で検索した方がいい。
等価回路も載っている。
たしかに全段バイポーラトランジスターなのがわかる。
そして、もうひとつわかるのはスルーレイトである。
AGI・511の特長は、フォノイコライザーアンプのスルーレイトの高さである。
250V/usという、非常に高い値を実現している。
けれどμA749のデータシートにあるスルーレイトの値は、250よりもずっとずっと低い値である。
どうすれば、低スルーレイトのOPアンプで、250V/usというスルーレイトを実現できるのか。