Date: 6月 8th, 2013
Cate: 黄金の組合せ
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黄金の組合せ(その8)

AGI・511は、1981年にbタイプとなる。
ステレオサウンド 60号にて、井上先生が新製品紹介の記事を書かれている。
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 AGI511コントロールアンプは、数年前の登場以来、シンプルで簡潔なデザイン、精密感があり加工精度が高い筐体構造、優れた性能が直接音質に結びついた印象のダイレクトでフレッシュなサウンドなどこの種の製品に要求される要素が巧みに盛り込まれているオーディオ製品としての完成度の高さにより、一躍注目され、多くのファンを獲得してきたが、今回ラインアンプのICを変更し、新しくbタイプに発展した。
 詳細は不明だが、511のラインアンプは、最初期のタイプが初段差動アンプがバイポーラトランジスター構成のIC、その後FET差動のICに変更されている様子であり、これがAGI511aとして知られているタイプである。今回新採用のICは、米国NASA系の技術を受け継いだ半導体メーカー、BURR−BROWN社製の最新型で、これの採用により特性面での改善は大変に大きい。
 新ICによりラインアンプのスルーレイトは、従来の50V/μsからフォノイコライザーと同じ250V/μsと高まり、THDは、20Hzから100kHzの超高城まで変化をしないといわれる。なお、bタイプのイニシアルは改良のプロセスを示すが、国内市場では、いわゆるaタイプはパネル面に表示されていなかったために、新採用のBURR−BROWN社製ICの頭文字Bの意味をとってbと名付けられたようである。また、bタイプになっての変更はICのみで、使用部品関係は従来どおりの高精度部品を採用している特長を受け継いでいる。なお、輸入元のRFエンタープライゼスでは、従来機のbタイプへの改良を実費(55、000円)で引受けるという。
 bタイプは、511初期のクッキリとコントラストをつけた音から、次第にワイドレンジ傾向をFET差動IC採用で強めてきた、従来の発展プロセスの延長線上の音である。聴感上の帯域が素直に伸びている点は従来機と大差はないが、内容的には一段と情報量が多くなり、分解能の高さは明瞭に聴きとれるだけの充分な変化がある。音色は明るく、のびやかな再生能力があり、大きなカラーレーションを持たないため、組み合わせるパワーアンプにはかなりフレキシブルに反応をする。内外を含め最近のコントロールアンプとしては最注目の製品だ。
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これを読んでもわかるように、井上先生は初期の511よりも改良されていく511の音を高く評価されている。
このへんは瀬川先生と逆である。

となると、人によっては、どちらの書かれていることを信じればいいのか、といいたくなろう。
でも、瀬川先生の511への評価も、井上先生の511への評価も、どちらも正しい、と受けとっている。

このブログでも何度か引合いに出している、
ステレオサウンド別冊 HIGH-TECHNIC SERIES 3(トゥイーターの特集号)の巻頭記事、
4343のトゥイーターをピラミッドのT1、パイオニアのPT-R7、
テクニクスの10TH1000などに置き換える試聴記事における
井上先生と黒田先生のJBLの2405とピラミッドT1への評価と瀬川先生による2405とT1への評価、
そして、騙されているとわかっていても2405の切り絵的な音をとる、という瀬川先生の発言。
これらのことを思い出せる方ならば、
511の初期モデルとその後のモデルの音の変化についての評価が、
瀬川先生と井上先生とでは違ってくるのは当然のことである。

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