私的イコライザー考(妄想篇・その7)
BOSEの901というスピーカーシステムへの興味はそこそこあったものの、
901の音そのものについては、すこしがっかりしていたところもあった。
最初に聴くことができたのは901IIIだったか。
条件も決していいとはいえなかったし、それで901の本領発揮とはいえないことは重々わかっていたものの、
とにかく音の品位が、イギリスのBBCモニター系スピーカーの音にそのころは強く魅かれていただけに、
いっそう乏しいように感じられた。
これでスピーカーユニットが、たとえばジョーダン・ワッツのModule Unitだったら、
きっといい音がするんじゃないんだろうか……、そんなことを思ったこともある。
ステレオサウンドにはいり、901を聴く機会はけっこうあった。
井上先生が気に入っておられたことも関係しているし、
井上先生が鳴らす901の音は、たしかによかった。
そして901もシリーズを重ねるごとに、
以前は不満に感じていた音の品位やしっとりした感じもけっこう表現できるようになってきた。
そうなると、901って、いいスピーカーだなぁ、と思うようになってきていた。
特に井上先生がマッキントッシュのMC275にCDプレーヤーを直接接いで鳴らした901の音は、
こんな書き方は誤解を招くことは分かっていても、それでもあえて書けば、
小口径フルレンジと真空管アンプの相性の良さは、捨て難い魅力がある。
こんな感じで901は鳴ってくれるんだ、と聴き惚れていた。
(この試聴は記事にはなっていない。)
そう思うようになると関心は自然と強くなっていく。
901の良さをもっと引き出すには、正面のフルレンジユニット、
後面のフルレンジユニット──これも内側と外側にわけて──、
計3つの、イコライジングを含めた補整が必要なのかもしれない。