手がかり(その13)
そのきっかけとなったのは、RIAAカーヴの改訂だった。
RIAAカーヴは、それまで35Hzから15kHzまでは厳格な規格が定められているが、
それ以下、それ以上の周波数帯については、35Hzから15kHzまでのカーヴの延長であればいいとなっていた。
だからハイ上りのカーヴも実際にあったし、
低域に関してもローカットの周波数に関しては規定はなかった。
メーカーの考え方によって、そうとうに低いところまでフラットに再生するカーヴであったり、
ある周波数からなだらかに減衰するカーヴであったりもした。
新RIAAカーヴにいつ改訂されたのかは正確には憶えていないが、
新RIAAカーヴに関する記事を読んだのは、電波科学だった。
それからしばらくしてステレオサウンド 55号にも、
ダイレクトカッティングで知られるシェフィールドのダグラス・サックスのインタヴュー記事の中でふれられている。
新RIAAカーヴは、録音特性を含めてのものではなく、あくまでも再生特性のみである。
20Hz以下の周波数を減衰させる新RIAAカーヴは、レコードの反りや偏芯、
アナログプレーヤーのワウや低域共振などの悪影響から逃れるためであり、
私の知る範囲ではDBシステムズのDB1は新RIAAカーヴに対応していた。
新RIAAカーヴとそれまでのRIAAカーヴ、
フォノイコライザーのカーヴの設定ということになるわけだが、
実際にどちらが音がいいのかというと、一概には言いにくいところがある。