サイズ考(その56)
トランスの巻線に、超電導ワイヤーが使われるようになったら、
トランスの性能、音も、大きく変化していくことだろうが、それがいつの日なのかはまったく想像できない。
まだ世の中に現れていないトランスよりも、目の前にあるトランスのよさをできるだけ活かし、
悪さをいかに抑えるか、であるが、コントロールアンプの出力に使うのであれば、
トランスを負性インピーダンス駆動するという手がある。
負性インピーダンス駆動といえば、1988年に、ヤマハがAST(のちにYSTに改称)方式で、
バスレフ型スピーカーと負性インピーダンス出力のパワーアンプを組み合わせることで、
コンパクトなサイズで、驚くほどの低音再生を可能したことを覚えておられるだろう。
AST方式は、ウーファーのボイスコイルの直流抵抗を、負性インピーダンスで打ち消すことで、
バスレフの動作を、より理想的に環境に近づけることに目指したものである。
じつはトランスの巻線の直流抵抗を打ち消すということは、このAST方式からヒントを得た。
AST方式は、なにか新しい技術を開発したというよりも、
以前からあったふたつの技術を組み合わせることによる相乗効果によるものといえよう。
組合せが生みだす面白さが、AST方式にはある。
そして、この発想は大いに真似したいものだ。
だから、トランスと負性インピーダンス駆動の組合せを思いついた。